13時限目はスラロームデビュー


教習所に着くとすぐに、カウンターにある読取機にICカードをピッとする。

すると、ビッ!と音が鳴り、事務の方が原簿を渡してくれる。

その横にある読取機で、更にカードをピッとすると、レシートみたいな乗車券が出てくる。

そこに今日の指導員様の名前が載るのだ。


今日は元気がない、眠いし、だるい。

何故なら今朝、うちの可愛いワンコとニャンコがタッグを組み、私を早朝3時に起こしたからだ。

だからだから!

私は祈った。

今日はS指導員様は勘弁して欲しい。

今日だけは勘弁して欲しい。

できれば元気で、気合いの入った時にお会いしたい。


‥‥だが、私の祈りは通じなかった。


乗車券にはしっかりS指導員様のお名前が。


何故、こんな眠い時に!頭がパーな時に!

心の中でギャフンと叫び、今日の朝のTVの占いでは天秤座はgoodと出たのになぁ、どうしたものかなぁと気持ちが沈む。

前回、元気だった時にお会いしたかったなぁなどと、どうしようもないことをウジウジ考える。


でも、もう決まってることだから仕方ない。

今日も、前回みたいに頑張ってアクセルを触るのだ!と心を奮い起こす。


準備して待合所にいたら、S指導員様の登場だ。

なんだかいつもより優しげに挨拶して下さった。


もしや!前回担当のA指導員様が、村々さんは物凄くスピードを気にしていたよって伝えてくれたのかしら。

そうだといいな。


「じゃあ村々さんは1コースを走って下さい」

と言われたので、いつも通りバイクのスタンドを払って後方に下がろうとしたら、ビクともしない。

どうしたものかとオロオロしてたら、一緒に教習する若者が、

「1速に入ってるみたいですよ」

と。親切な若人よ、ありがとう。心に染みる。


跨ってエンジンかけてシフトをNにして、エンジン切って降りて後方に下がる。

いつもと違う事が起こるだけで、もう疲れてしまった。


でも、そんなテンションでは、またお叱りを受けるではないか。

この歳で、叱られるのはダメージが大きい。

できれば避けたい一心で、エンジンかけて、前回の気合いを思い出し、初っ端からアクセル触りつつ半クラで発進だ。

すぐ2速にしてアクセルをブンブンしながら走った。

だが、今日は停止時にクラッチをしっかり握れてないのかエンストすることが多いような。

バレないようにすぐにエンジンボタンをサッと押しつつ再発進だ。

そして直線では3速にして頑張った。


2周したところで止められた。

「直線ではもう少しだけスピード出して、カーブではスピード落として。直線終わりではしっかりスピード落として、絶対に焦って暴走するようなことはないようにしましょう」

と。

私のスピードに対する意気込みを分かって頂けているようなアドバイスで、少し嬉しい。

でも、暴走に発展しないか心配されてるから、気をつけなくちゃ。


その後さらに3周した後、

「ついてきて下さい」

と、行ったことない方へ。

ここは何?と思ったらスラロームの場所でした。

ほうほう、こんな所にあったのね。


S字と8の字とクランクと坂道と急制動する場所が、同じエリアにあって、スラロームはなかったから、スラロームはここの教習所にはないのかもと思っていたの。

もしや、ここの教習所ではスラロームはやらないのかしら、私はきっとそれも下手に違いないから、1つでもやる項目が少ないのはラッキーだわ!などと思っていたから、ちょっと残念な気持ちです。

そんなわけないのに。


1速でノロノロとパイロンを避けながら走る。

なんとかパイロンに触ることなく完走することができた。

嬉しい、とても嬉しい。

何回かやったが、失敗することなくできた。


が、動画で見たスラロームは、こんなノロノロではなかったはずだ。

確か、バイクを斜めに倒しながら、グワッグワッて感じでスピーディーに走っていたような。

ノロノロじゃなくなったら、ぜんぜんできる自信ない。

こんな簡単なわけはない。


と思っていたら、今日の教習は終了。

今日は一度も転ばなかった。


前回は5回も転んで、引き起こしとセットだったから、全身筋肉痛になった。

その筋肉痛が、3日経った今日でも残っているくらいだ。

今日は転ばずに済んだ、万歳。


S指導員様からは、この後、スピードに関することは特に何も言われず、

「徐々に次のコースを覚えていきましょう」

と、前向きな言葉を頂けました。


S指導員様に、

スピードに関しては、そう気にならなかったということで、ようござんすね?

と聞きたかったけど、聞けるわけもなく。


今日は叱られなくて本当に幸せでした。


明日も同じ時間に教習です。

スラロームでグワッグワッとやるのでしょうか。

心配です。