「顔ごと」に救われた19時限目

前回、18時限目にして、10時限目に習得したはずの8の字を再びやり、なんとか小回りのコツを思い出しました。


今日はT指導員様。

前回に引き続きのT指導員様。

心強いったらない。

ここ何時間ずっと足踏み状態の教習を、今日こそ打破したい気持ちです。


1コースは1周だけして2コースへ。

T指導員様に、

「顔ごとを思い出しました」

といきなり言ってみる。

何度か聞き返され、やっと理解して頂けたらしく

「そうです、村々さん、顔ごとです」

と。

大きくうなずく私。


今日は「顔ごと」を常に意識してクランクとS字に挑みました。

クランクの入口では

「顔ごと 顔ごと 顔ごと 顔ごと 顔ごと」

とずっと唱えながら進行方向をひたすら見つめる。

角に来る少し前から再び、

「顔ごと 顔ごと 顔ごと」

と唱えながら次の角を見つめる。

クリア!


S字でもずっと

「顔ごと 顔ごと 顔ごと 顔ごと 顔ごと」

と唱え続ける。

クリア!


「顔ごと」

を思い出した私は、14時限目以降、失敗続きだったクランクとS字をクリアすることができました。

「顔ごと」

これを忘れると大変なことになる。

絶対に忘れないように心に刻むことにする。


顔ごと進行方向を見る。


これを忘れて手近なパイロンを見つめた挙句に転倒しまくり、足のそこらじゅうが黄色や青や緑や紫になっているのだ。


私の今年の新語流行語大賞は、間違いなく

「顔ごと」

である。


坂道もなんとか突破、スラロームは遅いなりに通過、急制動はスピードは良いけどまだブレーキが早い、クランクとS字と8の字は無事通過、一本橋も5割の確率で成功。

今までで一番の出来でした。


そして

「顔ごと」に救われて、今日は、なんと、教習終わりに

「なんとか2コース回れるようになったから、村々さん、今日で第一段階みきわめOKね」

と!!!

耳を疑いましたが、間違いなくそう仰いました。

「本当ですか?」

と恐る恐る聞いてみる。

「急制動とスラロームはまだまだだけど、2段階で練習しようね」

と。

夢の!夢の!2段階!

でも、喜びも束の間。

私はすっかり不安になる。

今日できたことが明日はできなくなる、を何度となく体験してきた私である。

明日の教習で再び何もできなくなり、第一段階に降格されはしまいか。

あと何時間か見てもらい、本当に第二段階にいっても良いものかをみきわめてもらった方がよろしくないか。

とも思ったけれど、既に第一段階を10時間もオーバーしている身である。

いい加減、指導員様達も第一段階の村々から解放されたいに違いない。

と思いなおし、恐縮ながらみきわめを素直に頂くことにする。

「長かったですが、ついに!ありがとうございます」

と言ったら、

「2倍かかっちゃったねー」

と。

大人になってから、こんなに必死になったことは出産以来であったから、達成感が半端ない。

すっごい嬉しい。

「2段階に進むから、受付行って第一段階のみきわめ終わったって言ってね」

と。

やっとやっと、受付で言うことができる日が来たのだ。

どんな顔して、どんなテンションで受付の方に言えば良いのでしょう。


冷静を装って受付に行く。

「第一段階みきわめがOKになりました」

と、男性の受付の方に言ってみた。

「そーですか!」

と、少しハイテンションに高めの声で言って頂けて嬉しさひとしおである。

涙ぐみそうになるのをグッとこらえる。

「2段階のスケジュールを組みますね。8時間分のスケジュールをとりあえず組みますね。オーバーした時は、またその時に組みましょう。しばらくは予約しなくても大丈夫になりますよ」

と、今までの私の予約の面倒を労うような御言葉を。

「絶対にオーバーすると思うので、その時はよろしくお願いします。」

と言っておく。

なんと答えたらいいのやらといった表情の受付様。


第2段階の8時間のスケジュールを印刷して頂いて、

「2段階はシュミレーションが3回あります。その兼ね合いで、キャンセルされるとスケジュールが変わっちゃうので注意して下さい。でも体調悪い時は仕方ないですから、連絡して下されば大丈夫だから、休んで下さいね。」

と。


とうとう1段階が終わった。

嘘みたい。

とっても嬉しいけど、不安な気持ちも拭えない。

明日も今日みたいにできるといいけど。


かなり温情なみきわめだけど、良かったです!