進歩なしの4時限目

今日も行って参りました。

ほとんど何もできない状態から、前回は勢いで発進停止ができて、天まで昇る気持ちだったのですが。


今日は発進停止はできたものの、指導員様は、それだけでは物足りないらしく。

もっとスピードを出せと仰る。

仰るだけならまだしも、走行中にバイクで並走しながら横から手を出してきて、私のバイクのアクセルを勝手に回して下さる。

私は転ばずに外周を走るだけで精一杯なのだ、スピードのことなぞ考える余地はない。

横から手を出されると思わずその手を、はたきたくなるから困る。


指導員様が横を走りながら仰る。

「村々さん、横見て。自転車より遅いよ。」

敷地外の、横の道を走る自転車が見える。

確かに。でもそれで良いと思ってる私は平気だ。

前回やっと乗ることのできた私に、多くを望むのが間違いなのだ。

転ばないのが1番大事。

それ以外のことは、今日は気にしないことにする。


意に介さず低速を続ける私に、指導員様が仰る。

「村々さん、ブレーキの練習をしたいんです。村々さんの速度ではクラッチ切るだけで止まる状態なので、ブレーキの練習ができません。」

あら!そうなのね。申し訳なかった。


ちょっとだけ頑張ることにした。

「40キロが出るまで頑張ってアクセルあけて」

と言われ、恐々アクセルを回そうとする。

が、どっちに回すんだっけ?とか考えてるうちに直線コースが終わる。

カーブに来たらもう遅い、今度の直線で頑張ろうと諦める。

次の直線に来る。でも前方の低速の車に塞がれて、スピードを出すことはできない、諦める。

そうこうしてるうちに時間がきて終了だ。

今日はノロノロと外周を回り続けて終わった。

前回から進歩は何もない。

進歩はないけど楽しかった。

転ばずにバイクに乗れたなんて、なんて楽しいのだろう。それだけで私は充分だ。

このままずっと外周をただグルグル回っていたい。

あと5回くらいは、現状維持でお願いしたい。

なのに帰り際、指導員様が言う。

「次はコース1を走ります。コースを覚えてきて下さい。あと、40キロまで頑張って出しましょうね」


そんなどんどん高度なことをっ。道を覚えるのが苦手な私に酷なことをっ。

次回は明日の10時から。走るだけで精一杯の私にコースを覚えていられるだろうか、無理だろうと思う。走り出したら頭真っ白だ。

発進停止は意外にもすんなりできた、でも、ここから先が進まない気がする。何より私がゆっくりを望んでいるのだから。

焦ってやると怪我をしそうで怖いのだ。若い頃のように、捨て身になって思い切ることなどできない。でも免許は欲しい。この葛藤はずっと続くと思う。


この歳でバイクに乗ろうと思って、一歩を踏み出す勇気はあったのだ。明日は40キロ出す勇気を出せるといいのだが。